フランクフルトでirukaと通勤する

Commuting with iruka in Frankfurt

昨年に続いて、今年もirukaは欧州最大の自転車展示会であるユーロバイクに出展した。初めて出展した2019年はスイス国境近くの湖畔の街、フリードリヒスハーフェンでの開催だったが、2022年からフランクフルトに会場を移している。


仕事でもプライベートでも、僕はひとつの街に長く滞在する旅では、ホテルよりもエアビーエヌビーで家を借りることを好む。料理と洗濯ができるのは大きな利点だ。ただし、多少の当たり外れは覚悟しなければならない。実は昨年借りた中央駅近くのアパートは、率直に言っていまひとつだった。


今回借りたノルドエンド地区のアパートは、とても清潔で快適な、お世辞抜きにすばらしい部屋だった。

 


地下鉄のMerianplatz駅からすぐ近くだったが、地下鉄を使うことはなかった。irukaがあるからね。というわけで、僕は6月24日から6月28日までの5日間、アパートから会場のMesse Frankfurtまで約5kmの道のりをirukaで「通勤」することになった。その道行きを紹介しよう。


今回日本から連れてきたのは、シリーズ初の外装変速モデルとして開発中の、iruka Xの最終プロトタイプ。会場に着いたらそのまま展示車両になる。

 


アパートが面しているSantweg通りを南に下る。

 


途中からSandweg通りは逆方向の一方通行に変わってしまうので、Spielplatz公園の中を通ってさらに南に進む。写真には写っていないが、通勤や通学とおぼしきサイクリストたちを多く見かけた。夏の木々の緑が鮮やかで美しい。



マイン川に行き当たったら、右折して川沿いのマインカイ通りを西に走る。フランクフルト中心部は街中に自転車レーンが張り巡らされていて走りやすい。


 

 

フランクフルト大聖堂前を通過。



左手にHolbeinsteg橋が見えたら右折し、フランクフルト中央駅に立ち寄る。


 


目的は駅構内の売店で昼食のサンドイッチを買うこと。展示会場のカフェテリアは混む上にあまり美味しくないのだ。中央駅は複数の売店が競い合っているせいか、どこで買ってもそれなりに美味しいように思う。



駅前通りをトラムと並走して1kmほど北上すると、ほどなく左手に会場のMesse Frankfurtが現れる。

 

 

irukaのブースは12ホールの1階。

 

 

irukaブース。昨年は台湾のハンドメイド自転車ブランド、AOI CYCLEの社長のKenが誘ってくれて2社でブースをシェアしたが、今年はそこに同じく台湾のハイエンドパーツブランドのZENOが加わり、昨年の倍以上の広さのスペースを3社でシェアすることになった。



左からAOI CYCLE社長のKen、ZENO社長のWu、私、Wuの弟のFly。ユーロバイクは日本のサイクルモードなどと比べても元々出展料が高かった上に昨今の円安が重なり、さらにドイツの施工業者とやりとりしなければならないこともあり、iruka単独ではとてもではないが出展できない。2019年に初出展したときは、日本の自転車産業振興協会がスペースをまとめて借りて日本メーカーにシェアするプログラムに参加したが、その事業も昨年で終わってしまった。今回の出展は、Kenたちが誘ってくれて、さらにAOI CYCLEがドイツに拠点があるからこそ実現したことだ。感謝してもしきれない。



折りたたみ自転車業界のレジェンド中のレジェンド、BirdyやCarryMeの生みの親である台湾パシフィックサイクルズの創業者George Lin会長が会場内をおしのびで歩いていたのを見つけ、irukaを見ていただいて記念撮影をお願いした。実は会社を設立した年にパシフィックサイクルズを訪れて生産を受託してもらえないか打診したのだが、当時はまだirukaの設計の完成度が低かったこともあって合意には至らず、そこから長い長い製造パートナー探しの旅が始まったのだった。
 


帰宅後、アパートの窓からの景色。これで夜の10時くらい。夏のヨーロッパは日が長い。



展示会についてのさらに詳しいレポートは別の機会に書いてみたい。


小林正樹

株式会社イルカ 創業者/代表取締役

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